ぶん・如月梓紗さま しゃしん・男衾村-復興計画さま
朝から お日さま ジリジリ 元気
セミも ジージー うるさいほどに
夏は みんな 朝から元気
いっぱい咲いた あさがおは
今日も みんなで 背比べ
「わたしがいちばん 高いでしょ」
「いえいえ わたし」
「あら わたし」
人には 聞こえてこないけど
そんなおはなし してるよう
少し はなれたところでは
無口なひまわり 並んでる
そうして みんなで お日さまを
じっと 見上げているばかり
そんなに お日さま 見つめては
お日さま 照れて かくれそう
ずうっと 見られたお日さまは
はずかしそうに 赤くなり
そうして やっぱり かくれたよ
とっても はずかしかったのか
お日さま かくれたそのあとの
お空も ずっと 赤いまま
そしたら お星さまがきて
みんな みんな かくしたよ
ぽつんとひとつ あさがおひとつ
はぐれて 芽が出た あさがおひとつ
つかまるところが 見つからない
えいっと伸びた その先に
ようやく見つけて まきついた
あらあら それはひまわりよ
まだまだ伸びる ひまわりなのよ
だけど あさがお 気付かない
さてさて伸びよう ぐんぐん伸びよう
あさがお とっても はりきった
けれども ひまわり あさがおよりも
どんどん どんどん 伸びてった
まってよ まってよ 叫んだけれど
ひまわり かまわず 伸びてった
自分に まきつくあさがおに
気付かず どんどん 伸びてった
あさがお 千切れず伸びたけど
あんまり ぐんぐん伸びたから
咲いたお花は ひとつだけ
それしか 力が 残らなかった
けれども 朝から 元気に咲いた
ひまわりいるから 元気に咲いた
ひとりじゃないと 信じてた
ひとりで平気と 信じてた
朝になって お日さま 元気
だから あさがお お話ししたよ
一生けんめい ひまわりに
お話しかけて みたけれど
ひまわり お日さま 見てるだけ
お返事さえも してくれない
それでも ずっと 話してた
お返事くれると 信じてた
あっちのあさがお にぎやか 元気
こっちのひまわり お日さま 見てる
ひとつっきりのあさがおは
どちらの中にも 入れない
こんなに そばに いるのになあ
どうして お返事 してくれないの
どうして わたしを 見てくれないの

ひまわり ちゃんと あさがお見てた
夜になったら あさがお 見てた
あさがお つぼんで ねてたから
ひまわり だまって それ見てた
もっと 起きててくれたなら
ちゃんと お返事 したのにな
そうつぶやいて あさがお 見てた
ある日 お日さま お休みしたよ
雨が ざあざあ ふったから
お空の上で かくれんぼ
見つけられない ひまわりは
しかたがないから うつむいた
あさがお あいてに お話ししよか
だけど あさがお しおれてた
雨にぬれて しおれてた
お返事くらい してやれた
ひまわり はじめて 気が付いた
お日さま 見上げていようとも
お返事くらいは できたのに
しぼんだあさがお 花びらの
先から 雨つぶ おちてった
なみだのように おちてった
朝から お日さま ジリジリ 元気
だけど ひまわり 見上げない
お顔が黒くなったから
おもくて 見上げて いられない
しかたないから あさがお 見てた
たねになった あさがお 見てた
お話ししても お返事くれない
たねになった あさがお 見てた
お返事くれない あさがおに
やっと ひまわり 気が付いた
お返事もらえぬ そのことが
どんなに かなしい ことなのか
どれほど さびしい ことなのか
やっと ひまわり 気が付いた
おそすぎたけど 気が付いた
あさがおの たねがはじけて おちてった
葉っぱも ついに 枯れてった
枯れてしまった 葉の上に
あさがお 見つめる ひまわりの
たねが ぽろぽろ おちてった
ぽろぽろ ぽろぽろ なみだのように
ぽろぽろ ぽろぽろ おちてった
つぎの夏も 咲いてよ ここに
ぼくも きっと 咲くからね
そうして ぼくに まきついて
そしたら こんどは ぼくからね
お話しかけるよ きっとだよ
さいしょに ごめんと 言うからね
ぜったい ぜったい 言うからね
それから いっぱい お話ししよう
ことしのぶんも お話ししよう
きっと きっと きっとだよ
やくそくするよ きっとだよ

☆おしまい☆
*
*** 夏のお題でとっても可愛いお話を書いていただきました♪
来年、ふたつの小さな芽が並んで育つのですね なんだかとても嬉しい気分です
如月さま、ありがとうございました ***
20030731up